京都の伝統野菜に指定されている海老芋。ねばり気が強く、きめも細かい食感はおいしさが抜群で、まさに京の逸品。お正月の料理への要望も多く、毎年、年末の売り場ではお客様から「海老芋はどこにあるの?」という質問がちらほらと聞かれます。
海老芋は、里芋の一種で、品種ではなく栽培方法の違いによって作り出されるものです。250年以上も昔、長崎から持ち帰られた里芋の種を土入れして丁寧に育てているうちに、皮に縞がある大きな海老のような形をした芋が取れるようになり、「海老芋」と名づけられたとか。そのような昔から形を変えずに今日まであの美しい縞模様は伝えられてきました。
形の継承がうまく続いているとされる海老芋ですが、栽培はとても難しいとされ作る人が年々減ってきているそうです。何度も土寄せを行う特別な栽培方法により、形が海老のように曲がります。しかし、土寄せの土が厚ければ芋は細長くなってしまうし、薄すぎれば親芋の近くに小芋が発生し、親芋にも養分がいかない。長年の勘が頼りになるので作り手の高齢化が進んでいるそうです。なるほど、高級品とされるだけあって手間のかかりかたもハンパではないのですね。
現在では、京都産がとても有名な海老芋ですが、静岡県からもたくさんの出荷があります。しかし、やっぱり温暖の激しい盆地で作られた京都の海老芋はとても人気。あの肉質、よくしまった風味は一度試してみる価値ありの一品です。