甘くて、素敵な酸味があって、時々ムスクのような芳醇な香りがあって。でも見た目はとってもハードボイルドで無骨な姿をしています。その姿だけを見れば誰もが「食べてみたい!」と一目惚れをしてしまう果物ではありません。
ラフランスとは名前からも想像できるようにフランスで生まれた西洋梨の一種です。1864年にフランスで発見され、明治時代に日本に持ち込まれました。今では3000種以上があるといわれる洋梨ですが、その中でもラフランスは味が濃く、香りが良いことからか生産量も一番で、みなさんが目にする機会も一番多いと思います。
でもここまで日本で西洋梨が有名になったのは、ここ5、6年のことです。それまでは日本で梨といえば日本梨のことで、西洋梨なんて一部の人を除いて想像しなかったかもしれません。明治時代から日本にあったのに西洋梨はあまり市民権を得ていなかったのです。なぜなら、それまでは缶詰などの加工品として流通するだけで生食なんてほとんどされていなかったから。どうりで昔は八百屋さんなんかで見かけなかったはずです。あまり市場に流通していなかったのですね。
洋梨は紙袋に入れて食べごろを待ちます。とても固いものなら1週間くらい。少し柔らかいものなら2、3日。だから、洋梨の首のところを軽く押して毎日チェックしてみましょう。熟れる時間は保存温度や収穫時期などの環境で変わってきます。あなたのコントロール次第でパーフェクトな熟れの瞬間を。口いっぱいに広がるジューシーで甘酸っぱい花のような香りを楽しんで下さい。毎日待つことの楽しみ。おいしい味を想像しながら。