京都景観賞(建築部門)市長賞(1位) 2015年

審査員のコメント
青果物を中心とした物販店舗,飲食店及び屋上農場からなる複合施設である。事業主の株式会社セントラルフルーツは,
全国の百貨店に青果物専門店を展開するとともに,農業生産法人として農業も営んでいる。本施設は日本の「農業・流通・食」のあるべき姿を
伝えることを目的に,都市における農業振興プロジェクト「八百一の杜構想」を実践するために計画されている。
建設地は15m高度地区及び旧市街地型美観地区に指定されており,商業・業務施設と住居が共存し,京町家や近代洋風建築が
歴史的風情を湛える歴史的都心地区に立地している。
建物のボリューム,壁面の道路後退,道路からあまり屋内を見せすぎない窓やブラインドの配置等により近隣へ十分な配慮がなされている。
スクラッチタイルを用いた微曲線のメインファサードが,素朴で優しくありながら力強さも感じさせ,周辺の町並みと一体となり,通り景観の向上に寄与している。
さらに,本物の畑土や里山の植栽,樹木を移植した3階の屋上農場では,一般に開放された遊歩道から四季の農作物の生長や収穫を
眺めることができ,京都の都心部に「農場」という新しい屋上景観を創りだしている。
生産者,販売者,消費者が同じ空間を共有し,次世代に「農業」を伝えようというプロジェクトの熱い想いが建築の設計や運営手法に
反映されている。その結果,歴史的な町並みに調和しつつ,これまでにない新たな優れた景観を創造した,極めて優れた建築プロジェクトである。
http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000179976.html
http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000179/179976/keikansho26-pamphlet.pdf