甘夏の元となる夏蜜柑は、江戸時代に山口県の海岸に流れ着いた果実の種をまいたのが始まりといわれる、柑橘です。
その夏蜜柑から、甘夏は昭和10年、大分県の果樹園で枝変わりとして発見されました。形は夏蜜柑とあまり変わりはありませんが、夏蜜柑よりも酸の抜けが早いので甘味が強いのが特徴です。昭和30年頃から大分や熊本などの温暖な地域で、栽培が本格的に始まり、全国的に知られるようになりました。
2月頃から初夏までが旬の甘夏は、さわやかな香りの甘酸っぱい実が魅力です。そのまま食べても良いですが、ドレッシングやサラダなどに加えて食べるのもおすすめです。保存する場合は、冷蔵庫に入れると苦みが出るので、風通しのよい涼しい室内で。
最盛期に比べると、昭和46年のグレープフルーツの輸入自由化や、新しい品種の登場によって、生産が減少傾向にある状況ですが、甘夏のさわやか甘さと、かすかなほろ苦さは日本では昔から愛され、今でも広く親しまれている味です。