新鮮なものを火を通し固い殻から取り出せば、美しいヒスイ色の実が。濁りのないきれいなエメラルドグリーンは宝石のようです。
ぎんなんは水煮などに加工され年間通じて出回りますが、生のものが旬をむかえるのは冬。残念ながら水煮加工されたものだと黄色かったり、あの特有のムッチリ感が強く出ていません。焼いたりゆでたりして、生のおいしさを味わえるのは一年に一度だけ。
しかし、ぎんなんは一度にたくさん食べると消化不良をおこしたり、のぼせたりすることがあるとされ、子供は特に食べ過ぎには注意しなければならないと言われています。さすが、かつて恐竜たちがいた時代から姿を変えていない植物として知られ、「生きた化石」と表現されるイチョウの木の種です。これだけ強い生命力があってこそ、その時代から生き残ってきたのですね。一筋縄ではいかないところも魅力の一つです。
ぎんなんのなかでも高級品とされる藤九郎は10月から11月が旬。これは殻が薄く、実が大きいとされ、全体の出荷量の1割もない希少品です。このおいしさをおせち料理に是非使いたいと言われる方もいらっしゃるのですが、年によりあまり貯蔵しすぎると実がやせてしまい、しわしわになってしまうのです。
今年の年末は、自然の産物ゆえにどうなるのか今のところ分かりませんが、ぜひ旬をむかえる冬の時期に生のものを味わって頂けたらと思います。この季節にしか感じられない、新鮮なプリプリ感やかすかな苦みの後味を楽しんでみてください。