口に含んだ瞬間は緑の爽やかな香り。そのうちにほろ苦い風味が広がり、どんどんと味の表情を変えてくれる花菜。春の味としてよく知られていますが、本当においしいのは気温がぐっと冷え込む1月頃からです。
花菜は地中海沿岸が原産で、日本には弥生時代に中国から渡来したといわれています。昔は灯油の原料として重宝され、食べるようになったのは平安時代に栽培されるようになったころでした。初めて花菜を食べた人はあのかわいいお花が持っているパンチの効いた苦みを味わって大変驚いたことでしょうね。
また、花の咲いたものはえぐみがでるからと敬遠されがちですが、意外にも京都の有名料亭では、あえて黄色く咲きほこったものを料理することがあります。そうすることで、色みを活かした鮮やかで華のある一品に。味の方は昔の花菜ならまだしも近頃のものなら、きちんと下茹でして使えば蕾のものとそんなに大差はありません。
そして、八百一の郷の丹波農場では現在花菜を栽培しています。1月あたりから除々に出荷が増えて来ますので店頭で一度手に取って頂けたらと思います。
春の香りをまだ寒い時期に味わうことで、あの美しい季節の到来を楽しみに待つ。とっても粋な行為なので、是非お試し下さい。