「和菓子の甘さは干し柿をもって最上とする。」和菓子の世界には、干し柿を和菓子の甘さの基準にする、という言葉があります。干し柿にすることによって糖度が増し、砂糖などが貴重だった時代、干し柿は冬のお菓子や保存食として重宝されてきました。干し柿の歴史は古く、地域によっても様々で、まだ甘柿が出回っていない時代、最初に柿が食べられはじめたのは、干し柿としてではないかといわれています。
あんぽ柿は、江戸時代に福島県の五十沢というところで開発された干し柿です。完全に乾燥させず、中の果実が半分生のようにやわらかく、しっとりとしているのが特徴です。以前は天日で乾燥させていましたが、その工程に米国で行われていた硫黄燻製が導入され、現在のあんぽ柿ができました。天日で干して乾燥させた柿を江戸時代に天干し柿(あまぼしがき)と呼んでいたそうですが、これが変化してあんぽ柿と呼ばれるようになったといわれています。
あんぽ柿は干し柿なので、風通しのよい冷暗所や冷凍庫などでも保存が出来ますが、長期にわたると乾燥が進むので、あんぽ柿独特の、食感や味が味わえる間に食べることをおすすめします。お茶請けなどにそのまま食べるのもよし、ヨーグルトや和え物など、料理に色々使ってみることもできるのでぜひどうぞ。